技術の動きを追っていて、だからこそ考え込み、悩んじまう今日この頃ではあります。イエスでありノー、かつノーでありイエスなモノやコトって、じつにトホホなんだなあって。
スマホがいい例だ。こいつは、35年前にボクが250万円も叩き払って買った中古のアップルⅡeよりも、おそらく少なくとも1億倍は頭がいい。だからみんな、楽しめるんだ。LINE、ツイート、ゲーム、予約、ショッピング-----何でもござれ。
でもね、他方でスマホは、振り込め詐欺やいじめの道具としても大活躍。もちろんだからといって、「スマホ! 完全廃止!」なんて誰も口にはしてないんだけど。
もうすぐ大流行の3Dプリンターも、似たようなものさ。自分だけのアクセサリーや什器備品を、自分の手で超簡単につくれる。いや、自分にぴったりの人工臓器づくりだって、そう難しくはない。しかし、同時にこの超能機械は、ピストルやライフル銃もたやすく印刷してしまう。それらが乱射される光景を憂うる人びとは、いま、3Dプリンター不要論を唱えている。
ふーむ、とボクは戸惑う。いっときだけれど、「テレビを視てるとアタマが壊れるぞぉ」って脅かされた記憶なんかにさいなまれつつ。
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とくに技術のこれからを想うにつけ、戸惑いはいや増す。
たとえば、“気分を変えてくれるヘッドバンド”がもうすぐ出回るんだけど、どうよ。電気信号の波形を脳の神経細道にぶっつけて、落ちこんでるときには元気に、興奮してるなら気を鎮めてくれるらしい。ところがさ、荒ぶる脳に、さらに興奮信号を送り込んじゃったら、危険ドラッグなんて「もう要りまっせ~ん」な状況が現実化しちまう。
いやマジメな話し、集中力を高めたい受験生はイエス、頭痛薬の売れ行きが落ちるだろう製薬会社はノー-----といった構図を超える魑魅魍魎がたたずんでいそうだ。
友だちが1キロ以内の距離から「もうすぐ着くよ」ってツイートしてきたら、自動的に家のドアの鍵を開けちゃうアプリも出た。そんなもの、実際にドアがノックされたときに開けてやりゃあいいじゃん、億劫がるな、って思うんだけど、足が不自由な年寄りにはイエスなんだよね。最近、神経痛気味のオレ、同感できちゃうもん。
これ、説明するのがちょっと難しいんだけど、“バーチャル・リアリティを体感できるヘルメットをかぶって後悔なしに何でも食べちゃう装置”ってのもある。視覚や触覚をまかなうセンサーや香り散布機が活躍して、あたかもその食材を食べたかのように脳をだましてくれるんだって。
「んなもの要らねえ!」ってとっさに叫んじゃったんだけど、つくった当事者は真面目なのさ。「糖尿病やアレルギーのある人たちに、架空飲食を楽しんでほしい」んだそうな。いや、まいったな。
よく言われることだけど、技術って、ほんとうに両刃の剣なんだよ。
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戸惑う必要のない、つまり「んなもの、ぜったいノー!」って即断できる動きも多い。こいつらにゃあ、笑っちゃうよ。
脳関連で言えば、まず、いま現在の気分を音声で知らせてくれるヘルメット。脳波センサーが、アルファ、ベータ、シータ、ガンマ、デルタ-----各波の状況を解読して、「キミハ、イマ、スコシ、マイアガッテル」などと耳元でささやいてくれるらしい。でもねぇ、お言葉ですが、そんなことまで機械に頼るかい?
気分の具合に応じて形が変わる3Dヘルメットも、開発済みだ。興奮してると流線型に、落ち着いていると円形に、お姿を変えて下さるとのこと。“脳神経の直接指示による動態制御の研究”(舌をかむなよっ)らしいんだけど。興奮過多だと、その度合いが友人に同時通報され、「おマエ、落ち着け」って助言メールが跳び込んでくるアプリも最新例だ。なんだか、ねぇ?
キミの顔の表情で開閉する電子ブックのカバーは?
iPadに見本を呼びだすと、まずカバーさまがご登場され、“面白くなさそーだなー”顔をするとキーが開かないまま、消えてしまう。“読みたい、読みたいよぉ”顔だと、もちろんオープン!
本がらみでは、読んだページが24時間後には消去されちまうデジタル・ブックもある。「読者よ、集中せよ。熱情をもって読み切れ!」と応援するのがそのココロなんだって。
まか不思議だし、説明面倒なのが、食べ急ぐと穴が広がってスープを皿にこぼし戻してしまうスプーン。つまりだなぁ、このスプーン、スープをすくう部分が二重構造になっていて、口に運ぶ速度というか回数が高じると、二重構造がずれて穴が開き広がり、スープをこぼしてしまうんだ。「食事は、ゆったりと」とご指導つかまつる、まあロボット仕様なのさ。勝手にしろ!
ボクの心肺が停止したら、その直前のツイートを友人縁者に即シェアしてくれるアプリなんて、バカヤロウだよね。オノレの遺言は、オレが決める!
あっ、もちろん、アプリをダウンロードしておかなきゃいいだけの話しなんだけど。
「こんなバカを続けてると、入植者(つまり技術)に自分の暮らしを乗っ取られちまうぜ」とは、知人のビズ・ブロガーの、海の向こうからの最新のつぶやきさ。
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